こころとからだ

頑張りすぎる人ほど動けなくなる理由。

「やるときは一気に頑張れるのですが、一度ペースが崩れると、『遅れを取り戻さなきゃ』『またサボってしまった…』と考え過ぎてしまいます。そのプレッシャーで結局何もできず、一日が終わってしまうことがよくあります。この“頑張りすぎ”と“何もできない”を繰り返すパターンから抜け出すには、どんな考え方や工夫があるのでしょうか?」

この方のように、なにかに取り組むときに、

<頑張りすぎ・やる気満々モード ⇒ 動けない・やる気が出ないモード>

この波を繰り返してしまう方、少なくないと思います。

いろいろ対策をお伝えしたあと、

<60点くらいを目指して、ぼちぼちやりましょう。>

とお伝えしたところ、こんな返信が。

「『60点くらいで十分』というお話を聞いてハッとしました。でも私は、どこか『90点以上を目指せないなら最初からやらない方がいい』という考え方をしてしまいます。そのせいで、新しいことや苦手なことになかなか挑戦できず、生きづらさにもつながっている気がします。このような完璧を求めてしまう自分と、どう付き合っていけばいいのでしょうか? お考えを、いつかInstagramでも聞かせていただけたら嬉しいです。」

…ということで、記事にしてみます。

この方は、「完璧主義」が強めなのかもしれません。

そして、その「強めの完璧主義」の裏には、「失敗への恐れ」が隠れているようにも感じました。

こういう「表と裏」の関係になっている問題に向き合うときは、

<表 ⇒ 完璧主義>

<裏 ⇒ 失敗への恐れ>

どちらがより根本なのかを考えてみると、取り組む方向性が見えてきます。

例えば、

A ⇒ 「完璧主義だから、失敗を恐れるようになった。」

B ⇒ 「失敗を恐れるから、完璧主義になった。」

どちらが近そうでしょうか。

僕は、Bの方がしっくりきます。

完璧主義そのものが苦しいというより、「失敗したら大変なことになる」という感覚があるからこそ、完璧でいようとしてしまう。

完璧主義は原因ではなく、自分を守るための手段なのかもしれない。

もしそうだとしたら、「完璧主義をやめよう」と頑張るよりも、「失敗への恐れ」を少しずつ手放していく方が、根本的な変化につながるように思います。

では、なぜそんなに失敗を恐れるようになったのでしょうか。

もちろん、気質や性格もあると思います。

でも、それだけではないように感じます。

過去に「失敗したことで、とてもつらい思いをした経験」があるのかもしれません。

親に厳しく叱られた。

学校や塾の先生に責められた。

部活動の顧問に怒鳴られた。

職場の上司に否定された。

夫との関係の中で傷ついた。

そんな経験を重ねると、

「失敗 = 責められる」

「失敗 = 安全ではない」

という感覚が、無意識の中に染みついてしまう。

そうすると、潜在意識は「もう二度とあんな思いはしたくない」と、失敗を避けるようになります。

その結果として、「完璧でいなければ」というパターンが生まれてくる。

ただ、こうした無意識のパターンは、「考え方」だけでは変わりにくいことが多い。

個人セッション(施術)では、こういった心理的ストレスがカラダにも反応として現れているのを感じることがあります。

そういうときは、カラダの反応を手がかりにしながら、そういったストレスが少しずつ緩んでいくようなアプローチをおこないます。

そういう方法も、ひとつの選択肢です。

ただ、もうひとつ大切な視点があります。

それは、

「そもそも、変わる必要はあるのでしょうか?」

という視点。

僕はこの方とは逆で、わりと失敗を恐れないタイプです。

やりたいと思ったことは、とりあえずやってみる。

その代わり、失敗もたくさんします。

でも、その失敗も経験値となり、糧になると思えているので、あまり気になりません。

とはいえ、僕みたいな「失敗を恐れない人」ばかりの世の中になったら、それはそれで社会は不安定になりそうです。

「失敗を恐れる人」にも、「失敗を恐れない人」にも、それぞれ長所と短所があります。

「失敗を恐れる人」の長所は、堅実であること。

慎重に考え、リスクを減らし、大切なものを守れる人でもあります。

「私はいろいろチャレンジするより、堅実に生きる方が合っている。」

それがしっくりくるのであれば、変わろうとする必要はない。

でも、

「ほんとうはいろいろ挑戦してみたい。」

「でも、恐れがブレーキをかけてしまう。」

そう感じているのであれば、根本の部分と向き合ってみる価値はあると思います。

「失敗への恐れ」が少しずつ和らいでくると、「完璧主義」も自然とゆるんでくるかもしれません。

「失敗する自分」

「思うようにできない自分」

そんな自分を少しずつ許せるようになる。

すると、「頑張りすぎる」と「何もできない」の間を行ったり来たりすることも減ってくるかもしれません。

「60点くらいでやってみよう」と思える人は、最初から60点を目指せる人ではありません。

「失敗しても大丈夫。」

そう思える安心感が少しずつ育ってきたとき、人は無理に頑張らなくても、自然に動けるようになるのかもしれません。