こころとからだ

比べなくなる身体。

産後ママさん。

妊娠・出産を経て筋力がかなり落ちてしまい、肩・腕・手首・膝・足首など全身に痛みがある。

「筋力を取り戻して、痛みも改善したい。」

そんなご相談でした。

一般的に、筋力を上げるにはトレーニングが必要です。

筋肉は、今より少し大きな負荷をかけることで強くなります。

これは間違いありません。

でも。

妊娠・出産・産後と、心身に大きなストレスを抱え、睡眠不足の中で日々育児をされている方に、

「もっと身体に負荷をかけましょう。」

とは、なかなか言えません。

もう十分頑張っています。

だから、トレーニングの前にお伝えしたいことがあります。

それは、

「今ある筋力を、もっと上手に使えるようになること。」

例えば家計。

生活費が足りないから収入を増やしたい。

それも一つの方法です。

でも、浪費癖が原因なら、まずは浪費を減らす方が早いですよね。

身体も同じです。

「筋肉の過緊張は、身体の浪費癖。」

筋肉がガチガチに力んでいるだけで、必要以上に体力を消耗します。

筋力が足りないから疲れるのではなく、力みすぎて疲れている。

そんな方がほんとうに多い。

余計な力みが減れば、筋肉量が変わらなくても身体には余裕が生まれます。

同じ筋肉量なら、ガチガチに力むより、リラックスした状態で使った方が筋力は発揮されます。

今回のママさんも、お子さんを抱っこするたびに、

「重いからしっかり力を入れなきゃ。」

と、全身に力が入っていました。

そこでお伝えしたのが、僕が「インナーモード」と呼んでいる身体の使い方です。

必要なところを必要な分だけ使い、過剰に力ませない。

頑張っている感覚は少ないのに、抱っこが軽く感じる。

初めて体験すると、多くの方が驚かれます。

産後というと骨盤が注目されます。

もちろん大切です。

でも実際には、手や腕の使い方が変わるだけで骨盤は自然に安定し、全身の連動も戻ってきます。

その結果、肩こりや腰痛、腱鞘炎なども改善しやすくなります。

そして変わるのは、身体だけではありません。

心も変わります。

身体がガチガチだと、人は思考優位になります。

「何が正しいんだろう。」

そうやってネットやSNS、周りの情報ばかり集めるようになります。

でも身体がゆるみ、感覚が戻ってくると、

目の前の赤ちゃんが何を伝えようとしているのか。

その小さなサインを自然と感じ取れるようになります。

情報が不要になるわけではありません。

ただ、情報に振り回されなくなります。

自分の子どもに必要なものを、自分の感覚で選べるようになるのです。

さらに、身体がゆるむほど「比較」も減ってきます。

友達の子どもと比べる。

SNSの誰かと比べる。

「あの子はもうできるのに。」

そんな不安や焦りも、身体の緊張が強く影響していることがあります。

身体がゆるみ、感覚が働くほど、自分とわが子とのつながりが深くなります。

すると、比べる必要もなくなってくるんです。

優越感も劣等感もいりません。

ただ、目の前のわが子を感じればいい。

ガチガチの腕で抱っこするのではなく、

ふんわり包み込むように抱っこする。

それだけで、身体も心もずいぶん楽になります。

「筋力をつける=トレーニング」

もちろん、それもたいせつ。

でも、その前に。

まずは余計な力みを手放し、今ある筋力を上手に使える身体になる。

身体と心に余裕が生まれてからトレーニングを始めても、遅くはありません。

その順番の方が、身体にも心にもやさしいです。