こころとからだ

身体を通して人生に触れる

「今」だけを見て人を評価してしまうことがあります。

でも、ほんとうにそれでいいのか。

例えば。

10年間引きこもっていた人がいたとします。

勇気を振り絞って外へ出ることを決意し、まずは週2日のアルバイトから始めた。

でも、その経過を知らない人が、

「いい歳して週2日しか働かないの?」

「ちゃんと働かないとダメだよ。」

そんな言葉をかけてしまったとしたら。

その人は”今”しか見ていません。

そこへ至るまでの人生に、思いを巡らせることなく。

だから、そんな言葉が出てしまう。

身体をみる仕事でも同じです。

初めてのお客さんに、

「身体がかたいですね。」

「姿勢がよくありませんね。」

「歪みがありますね。」

そんな言葉を並べる人がいます。

もちろん、身体の状態を評価することは、施術家として必要。

でも、その身体は、その人が今日まで生きてきた人生そのものです。

嬉しかったこと。

悲しかったこと。

頑張り続けてきたこと。

我慢してきたこと。

すべてが積み重なって、今の身体があります。

だから、初めて会ったその瞬間だけを切り取って、その瞬間の身体の状態だけを見て判断してしまうことに、違和感を覚えます。

それは、その人が生きてきた時間まで否定してしまうことになりかねないからです。

施術をするときに、たいせつにしたいこと。

それは、

「その人の人生に、敬意を持つこと。」

身体だけをみるのではなく。

身体に刻まれてきた人生を感じようとすること。

評価は必要です。

でも、その目的はダメ出しではなく、もっと心地よく生きられる可能性をご提案することだと思っています。

評価の前に、その人の人生への敬意を忘れたくない。

その優先順位を、間違えないように。

今日までの人生によって、今日の身体と今日の心があります。

身体を通して人生に触れさせていただく仕事。

それを忘れずに。