五行の水(腎)気を乱してしまうメンタル的な要素のひとつとして、「恐れ」があります。
人は多かれ少なかれ誰でも恐れを抱えているもので、適度な恐れは生命維持のために必要なものでもあります。
が、過剰になってしまうと腎気が乱れてしまう。
そして過剰になってしまうと、バランスを取ろうと本能的にそれを抑制しようとします。
その時にとる手段も人それぞれなのですが、「甘いものを摂る」ことによって抑制しようとするパターンもあります。
「甘いもの」は五行では「土」のエネルギー。
「土」のエネルギーは相剋関係で「水」のエネルギーを抑制するので(土剋水)、「甘いもの(土)」で「不安(水)」を抑えるという狙いです。
が!
基本的に砂糖系の甘いものは、甘さの刺激としては強すぎてしまいます。
強すぎる「土剋水」が起こってしまうと、一時的には不安が解消され安心感に包まれますが、「リバウンド」が起こります。
何事もそうです。
過剰な刺激には、反動が生み出されます。
そしてまた甘いものを欲する、という。
甘味に限らず、現代は「強い刺激」に慣れすぎてしまい、「強い刺激」じゃないと物足りない、という傾向になっています。
SNSの発信もそうですね。
インパクトの強い見せ方をしないと、発信をみてもらえない、いいね!がもらえない、フォロワーが増えない、バズらない。
それは言い換えると、見るほうもインパクトの強い投稿にしか反応しない・興味を示さない人が多い、ということでもあります。
そうやって強い刺激に慣れすぎてしまうと、カラダの繊細な反応を感じ取りにくくなってしまう。
思考や感情の声は大きいですが、カラダの声は繊細です。
その繊細な声を感じ取れなくなってしまうと、自分のカラダがなにを求めているのかがわからず、インパクトの強い情報から自分好みの情報を思考や感情で判断し、取り入れるようになっていきます。
甘味も、野菜や穀物が自然にもっている「ほのかな甘み」くらいが、「土」の気を調えるのにちょうどいいようです。
でも、砂糖の強い刺激に慣れすぎてしまって、「ほのかな甘み」では満たされなくなってしまっている。
そして「強い甘み」によって、腎気が弱り、冷えや睡眠の質低下につながっていきます。
健康とは目的ではなく手段。
健康のために生きているわけではないので、ココロの栄養、嗜好品を楽しむことも、たいせつ。
ただ、「強い刺激」ばかりではなく、繊細な刺激を感じ取る、カラダの声に耳を澄ませる時間も、生活の中に取り入れたい。
現代はインパクト重視の荒いエネルギーが溢れてしまっているからこそ、鎮まりに身を置く時間も意識的につくってバランスをとりたいですね。



