こころとからだ

焼魚記念日

ずっと、父が苦手でした。

子どもの頃から、父が帰ってくると家の中が緊張感でピリつくような日々。

常に委縮していて、なるべく顔を合わせたくない・近くに居たくない。

大学進学を機に沖縄を離れたのも、父と距離を置きたかったから。

そして沖縄に戻ってきても、やっぱり苦手なままでした。

30を過ぎてもその関係は変わらず、距離のあるまま。

けれど整体の仕事と向き合っていく中で、

「このまま父から逃げ続けたままでは、ほんとうにやりたい施術に辿り着けない」

逃げるのではなく、向き合おうと決めました。

言葉ではなく、手を使って。

毎週実家に通い、父に施術をすることにしたんです。

最初はただ触れるだけでも抵抗がありました。

でも、触れ続けているうちに気づくことができた。

父が背負い続けてきてくれていたものに。

そして、言葉では伝わらなかった父なりの愛情が、手を通してじんわりと伝わってきた。

母や姉、そして僕にも向け続けてくれていた、不器用な愛。

それを確かに体感できたとき、「苦手」が溶けていき、深い感謝と静かな尊敬にかわっていきました。

そして先日、沖縄に帰っていた日曜日。

「魚が安かったから買ってきたんだけど、食べる?」

「ん?うん。」

すると父は台所に向かい・・・

いやこんなこと初めてですよ。

こんな日が来るとは思わなかった。

父が魚を焼いてくれたから、7月13日は焼魚記念日。