こころとからだ

腸腰筋の役割とストレッチのポイント

先日ご紹介で初来店いただいたお客さん。

「腰が痛くなるの!医者にはすべり症って言われたのよね!」

元気。明るい。

初対面でいきなりタメ口なのがむしろ自然な陽キャ。

ピラティス・ランニング・24時間ジム。

運動習慣はある。

「わたし、カラダかたいって言われるの!」

だから、ストレッチもしている。

カラダのバランスをチェック。

「腸腰筋(ちょうようきん)って聞いたことありますか?」

「腸腰筋ね!知ってる知ってる!」

「お!さすがですね。その腸腰筋のストレッチはご存知ですか?」

「腸腰筋ストレッチね!いつもやってるよ!」

と言って見せていただいたのが、画像のストレッチ。

型をイジるよりも感覚を変えていただく方がいいように感じました。

腸腰筋は股関節のインナーマッスルで、股関節を曲げるはたらきもありますが、もっと大事なのは腰椎や股関節を”安定“させる機能だと感じています。

なので、腸腰筋の機能が上がると腰椎が安定して、すべり症の症状⇒腰痛も軽減する可能性がある。

では、腸腰筋に効くストレッチのやり方とは?

もちろん「型」の部分も細かく挙げるといろいろあります。

が、細かい型よりも優先すべきは感覚(刺激の入れ方)の方。

Iさんにやっていただいた「いつもの腸腰筋ストレッチ」は、強度しっかりで10秒~20秒くらい。

それをよりインナーに効く方法に変えるには?

超簡単です。

「強度を弱めて、時間を長くする」・・・これをすればするほど、インナー的な刺激に変わっていきます。

逆に「強度を強めて、時間を短くする」・・・これはアウター的な刺激になります。

「Iさん、ストレッチの強さをいつもの3割くらいにして、その代わり伸ばす時間を1分くらいにしてみてください。」

「え~!?それじゃ効かないじゃん?」

「じんわりの方が効くんですよ、インナーには。」

「わたしせっかちだから1分も同じストレッチしてたら飽きるんだけど!」

「しらんがな!笑・・・じゃあわかりました。片脚はいつもIさんがやっているやり方。反対側は僕がオススメするやり方。それで効果がどう変わるのか実感してみてください。」

Iさん、半信半疑ながらも、やってくれました。

で、股関節の安定性チェック。

明らかに違う。

「僕がオススメしたやり方の側が明らかに安定してません?」

「うん。。。わたし騙されてる?催眠術的な?」

「そうそう。最後には高い壺を買わされ・・・違いますよ!」

ということで、Iさんには腸腰筋ストレッチを「いつもの3割の強度で、いつもの3倍の時間(1分)かけて」おこなっていただくという宿題を出しました。
(宿題はあと2つありますが、それは省略)

ちなみに「いつもの1割の強度で3分かける」と、もっとインナーに響きます。

「いつもの1%の強度で30分かける」と、もっともっと笑

インナーへの刺激って、もちろん型も大事ですが、それ以上に感覚の方が大事だと感じています。

インナー感覚を目覚めさせるポイントは「じんわり」です。

施術家界隈では、短時間・即効性のアプローチが評価されがちです。

もちろんそれはそれですごいです。

が、どうあがいても「技術」では「時間」を上回れない面もあるのです。

「技術」がすべての面で「時間」を上回ることができるようになったとしたら。

世の中から「ヴィンテージ・アンティーク」の価値が消失しますね。

時間を経たからこそ、時間を経ることでしか、生み出されない価値も存在します。

モノだけじゃなくて、カラダへのアプローチも。

アウターへのアプローチが「仕掛ける」だとしたら、インナーへのアプローチは「待つ」です。

「待つ」が苦手な現代人にこそ必要なのが、インナーの活性化です。

しらんけど。